川崎病とは?症状の特徴と治療法、経過観察をまとめました

2020年12月25日家事・育児

※この記事は2020年12月25日時点の情報を元に作成しています。

2019年の6月、下の子のりっくん風邪を引いたようで、39℃以上の高熱を出しました。我が家は熱の出始めにかかりつけを受診しており、その後も変わらず高熱が続いたため、再度受診をしようか迷っていました

そこへ高熱4日目でBCG接種跡が腫れる異変。「これは何かおかしい」と思ってすぐにネットで症状から病名を調べ、川崎病の可能性に気付き、かかりつけを受診しました。

その日はもう入院先の病院の診療は終わっており、救急外来での受診となりましたが、かかりつけの先生が話を通してくださったため比較的早く受診でき、そのまま入院となりました。

正直、当時のパパの「前に受診したから様子見で良いんじゃない?」という言葉に納得してしまって、BCG接種跡の腫れに気付かなかったらと思うと今でも怖いです。気付いて良かったと思います。少しでも子供の様子が「おかしいな」と感じたら、楽観視せずに自分でも調べ、すぐに病院にかかるべきだと思いました。

今回は川崎病について、専門家によって書かれた複数のページを元に、情報をまとめました。最後に情報元としたページも記載しています。

川崎病とは

川崎病は、1967年に川崎富作博士が発表した病気です。原因は未だにはっきりしていませんが、ウイルスや細菌に感染したのをきっかけにそれを防ごうとする免疫反応がおこり、全身の血管に炎症が生じるのではないかと考えられています。

炎症が強すぎると白血球から出る酵素によって血管壁が傷みます。心臓を栄養する冠動脈の血管壁の構造が、この反応によって破壊されてもろくなり、もろくなった部分が拡大して瘤(こぶ)となることがあります。時期としては急性期の1、2週間を過ぎた後と考えられています。

これが川崎病による冠動脈障害で、後遺症と呼ばれている症状です。この冠動脈障害が原因になって動脈が詰まり、心筋梗塞がおこる場合があるため、川崎病は早期の治療が重要になります。

川崎病は主に4歳以下の乳幼児がかかり、男子が女子の約1.3倍といわれています。地域的な流行がみられたり、兄弟姉妹で同じ時期(多くは10日以内)に間をおいて発病することがありますが(1-2%程度)、人から人へうつる病気とは考えられていません。また、川崎病の場合はかかった子の2-3%に再発がみられます。

症状

主な症状は、

  • 5日以上続く発熱(38度以上)
  • 発疹(BCG接種跡が赤く腫れることが多い)
  • 両方の目が赤くなる
  • 唇が赤くなったり、苺舌がみられる
  • 病気の初期に手足が腫れたり、手のひらや足底が赤くなったりする。熱が下がってから手足の指先から皮膚がむける膜様落屑(まくようらくせつ)がある
  • 片側の首のリンパ節がはれる

医師の中には症状の数がしっかり揃うまで待とうとする方もいるそうですが、川崎病の合併症である冠動脈瘤は後遺症として残りかねないため、疑いを持った時点で「待つ」という行為を選択することは非常に危険であると考えられます。

診断の基準

上の6つの主な症状のうち、5つ以上がみられた場合と、4つの症状しかなくても冠動脈瘤がみられた場合は川崎病(定型の川崎病)と診断されます。症状はそろわないものの、他の病気ではないと判断された場合は「非定型の川崎病」とされます。血液検査では、白血球・CRP(炎症反応)の値が上がるといった症状が見られます。

治療方法

川崎病の治療では急性期の強い炎症反応をできるだけ早く抑え、冠動脈瘤ができないようにすることが大切で、一般的に「アスピリン療法」「免疫グロブリン療法」が行われます。

アスピリン療法は、血管の炎症を抑える効果と血液を固まりにくくすることにより血栓を予防する効果のある薬・アスピリンを内服する治療法です。

免疫グロブリン療法は、免疫グロブリン製剤という薬を静脈内に点滴し、全身の炎症を抑えて冠動脈瘤ができるのを防ぐ治療法です。川崎病と診断された場合に投与します。現時点でもっとも効果的な治療法で、アスピリン療法単独よりも冠動脈瘤ができる頻度を少なくできます。

しかし、これらの治療法を行っても、効果が得られない場合もあります。15~20%または3割ほどと言われていますが、このような場合、再度発熱してしまったり、後遺症を残しやすいということがわかっています。

この場合には、免疫グロブリン製剤の追加投与、その他の薬(ステロイド薬、抗TNF-α薬、その他の炎症物質を抑える薬)や血漿交換療法による治療などが行われ、治療が長引くことになります。

退院後の経過観察

冠動脈に後遺症がなかった場合でも、発症1ヵ月(3ヵ月、6ヵ月)、1年、5年後など定期的な経過観察が必要になります。

また、心電図、心エコー検査、胸部X線などの検査を適宜受けることが必要になります。さらに、最終チェックとして、検査が可能な年齢であれば運動負荷心電図を受けることが望ましいとされています。

急性期の症状がなくなってからは、アスピリンなどの血液を固まりにくくする薬(抗血小板薬)を1ヵ月~3ヵ月後くらいまで服用します。服用中は鼻血やケガなどによる出血に注意が必要です。

「川崎病急性期カード」

川崎病患者の急性期の情報を、正確に本人や将来へ伝達するために、日本川崎病学会が監修した「川崎病急性期カード」を医療機関で作成して渡してもらえます。以下からダウンロードして利用できます。主治医に記入してもらい、母子手帳などに挟んで保管しましょう。また、当時入院時にもらった資料も残しておくと安心です。

川崎病急性期カード|日本川崎病学会

私の知り合いが幼少期に川崎病にかかり入院、その後成人してその事実を知らずに過ごしていたところ、心臓の病気にかかり二度入院したそうです。親が伝えることで本人も健診を受けるなど注意ができますし、食生活や習慣的に運動をするなど、生活を改善することもできます。

川崎病が見つかってから、罹患した患者たちはまだ60代に達していません。幼少期にかかった後どうなるか、まだ分からないことが多いのです。そのため、必ず「川崎病急性期カード」でお子さんに伝えるようにしましょう。

予防接種の注意点

免疫グロブリン療法で用いられる免疫グロブリン製剤にはさまざまな抗体が含まれており、せっかく予防注射をしてもその免疫力がつかず、接種する意味がなくなる可能性があります。そのため予防接種を再開する時期には注意が必要です。主治医に確認の上、かかりつけの先生と相談しながら進めましょう。

下の子が入院した病院では、発症した日から2ヵ月を過ぎてから、BCG・ロタウイルス・四種混合・ヒブ・肺炎球菌・B型肝炎・インフルエンザウイルス・日本脳炎などの予防接種を受けることができると言われました。

ただし、MR(麻疹・風疹)・おたふく風邪・水痘は、流行していない時は、川崎病が発症した日〜11ヵ月後から受けたほうがよいと判断される場合もあります。最低でも6ヶ月は空けて接種しましょう。

今後について

川崎病はまだ新しい病気で、この病気にかかった患者たちのその後が分からないところにも、この病気の不安な点があります。

血管は年齢とともに老化していくため、川崎病の冠動脈障害に、年をとるにつれて進む動脈硬化が加わった場合、どのような経過になるかを注視する必要があります。

情報元としたページ

川崎病とは?|川崎病 免疫グロブリン療法を受ける患者さんと保護者の方へ

[31] 川崎病のはなし | 小児の心臓病 | 循環器病あれこれ | 国立循環器病研究センター 循環器病情報サービス

川崎病 記事一覧 | メディカルノート

2020年12月25日家事・育児

Posted by みう