島村華子「モンテッソーリ教育・レッジョ・エミリア教育を知り尽くした オックスフォード児童発達学博士が語る 自分でできる子に育つ ほめ方 叱り方」
この本は、棋士の藤井聡太さんが幼少期に学んだことでも有名なモンテッソーリ教育と、レッジョ・エミリア教育という、子どもを独立した人間として接する二つの教育法を学んだ著者が、子どもへの声かけの参考として書いた本です。
子どもを導くリーダーとして、大人に向けて心構えや接し方・声かけに重点を置いて書かれています。
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著者の紹介
経歴を引用します。
島村華子
英国オックスフォード大学 修士(MSc in Child Development)・博士号取得(PhD in Education)。モンテッソーリ&レッジョ・エミリア教育研究者。
上智大学卒業後、カナダのバンクーバーに渡りモンテッソーリ国際協会(AMI)の教員資格免許を取得。カナダのモンテッソーリ幼稚園での教員生活を経て、 オックスフォード大学にて児童発達学の修士、博士課程修了。現在はカナダの大学にて幼児教育の教員養成に関わる。 専門分野は動機理論、実行機能、社会性と情動の学習、幼児教育の質評価、モンテッソーリ教育、レッジョ・エミリア教育法。
引用元:島村華子プロフィール|Amazon.co.jp
本の紹介
第1章では、これまで私たちが当たり前に吸収してしまった子ども観や子育てへの考え方を正すことから始まります。
子どもを独立した一個人として尊重し、大人はわき役に回り、子どもの自主性を育てる。
愛情は子どもをコントロールするために用いるのではなく、無条件に注ぎ、子どもの気持ちに寄り添い行動の理由に向き合っていきます。
第2章では、いよいよ具体的な、ほめるときの声かけ例についてです。
意識しないとうっかりやってしまいがちなのが、具体性に欠ける「おざなりほめ」と表面上の特徴を中心にほめる「人中心ほめ」。でも一番良いのは、努力や試行錯誤した過程を中心にほめる、「プロセスほめ」です。
この「プロセスほめ」は、おそらく私たち子育て世代はあまりしてもらっていない人が多く、馴染みがないのではないかなと思います。だからこそ、親も意識して過程をほめる練習が必要で、本書には細かくその方法が説明されています。
私も最初は全くできていなかったのですが、上の子が2歳になる頃から特にこういった声かけを意識するようになり、今では自然に口をついて出るようになったと思います。
一番身近にいるママが気を付けていると、お手本となってパパが真似してくれたり、意図を説明しても理解しやすくなります。無理のないように意識して続ければ、家族が心地良い場所になりそうですね(*^^*)
第3章では、親にとって非常に悩ましい問題である、叱り方についてです。
ここの考え方は特に、アドラー心理学と似通っていますね。子どもへの絶対的な尊敬・尊重やともに学ぶ立場の者であるとするなど、共通点も多いようです。
怒って罰を与え、親の言う事を聞かせるのは簡単な手段です。そうではなく、やろうとした気持ちを受け止め、過程を認め、好ましくないと思われる行動の理由を説明します。
…とっても骨が折れますよね。でも、この積み重ねなんだと思います。話し合うという手段を用いるように努力することで、親も子も互いに成長していけます。
以前の私は、「子供の躾は親の責任。周りに迷惑をかけないように育てる」という考えでいました。そのため子供の気持ちや過程より、困った行動を止めることを重視し、強く怒っていました。
今では「失敗や体験は子供の権利。親が先回りして奪ってはいけないし、社会も含め子供の気持ちに寄り添い見守る必要がある」と考えています。
私でも、こんなに考え方が変わり、行動が変えられました。アドラー心理学やモンテッソーリ教育などに触れてみると、次第に感じ方や考え方が変わってくるかもしれません。
第4章では、「子どもとつながる聞く習慣」として、子どもに100%の注意を傾けて話を聞く、アクティブ・リスニングが挙げられており、この方法は子どもに安心感と自分で考える力をもたらします。
他にも、「子どもとぶつかる7つの習慣」と「子どもとつながる7つの習慣」が紹介されており、子どもと心の距離が離れてしまわないよう、接し方のポイントが紹介されています。
しかし、親も人間(^^;)聖人君子ではありません。日々大変なことも苦しいこともあります。だからこそ、これまで書かれてきたことを意識して、少しずつ改善していけたら良いと思います。
きっと私たち親世代のように、子供にも、遠回りしてでも克服する力があるはずです。可愛いけれども、「何が何でも完璧に」と思わなくて良いと思います。
つづく第5章では、これまで本書を読んで親の心の中に生じるであろう疑念について、Q&A形式で回答されています。
おわりに
モンテッソーリ教育やレッジョ・エミリア教育などのいわゆるオルタナティブ教育(=学校教育法で規定されていない教育法で、子どもの自主性を尊重するのが特長)を調べると、そうそうたる偉人の名前が出てくるので、親が食いつきがちですよね(^^;)
でも本来の「子どもの自主性を尊重する」という目的を忘れず、親が楽しみながら子供と向き合うことが何より大切だと思います。
本書で紹介されている教育法は、私が子育ての参考にしているアドラー心理学を子育てで実践するのに非常に役立つと感じました。むしろ、これらの教育法を実践するためにも、まずは親がアドラー心理学に触れてみた方が良いのではと思います。
子育てをする上で、声かけや教え方というのは表面上のものでは通用しません。相手は大人の都合だけで見れば困った行動ばかりですから、イライラしたりペースを乱されたように感じてしまいます。
アドラー心理学や本書のような具体例・考え方を指針にしつつ、黒川伊保子さんの、愛情深い子育てを参考にすると、理論が実践しやすいのではないかなと思います。黒川さんは実生活に活かせるよう、分かりやすく説明し共感させるのが本当に上手。
そして何より思うのが、大人が子供に「将来こんな人になってほしい」と思うならば、大人自身がその理想的な人物像に少しでも近付けるよう努力すべきですよね(^^;)自分はできないのに相手に要求するのはいけませんよね…。私も頑張ります!
大人も勉強することで、学びを楽しむことで、子供を共に学ぶ友人のように感じられますし、何度も諦めずチャレンジする子供に、不屈の精神を教えられたりもします。
日常生活もあり、子供を一人前に扱ったり声かけに注意するのはとても大変なことですが、自分の一部としてではなく少し距離を取って子供を見つめる(=尊重する)ことで、親も子供も息苦しさから解放されるのではないかな、と思いました(*^^*)
こちらの本も併せて読むと、具体的にどう普段の育児に生かせるか、理解が進むと思います。
併せて知っておきたい、「マルトリートメント」について書かれた本の記事です。
我が家での実際の声かけをご紹介した記事です(*^^*)